「愛と欲望の雑談」

雨宮まみ 岸政彦「愛と欲望の雑談」を読んだ。

 

この本は昨年の9月に刊行されたもので、読もうと思っていたら雨宮さんが亡くなってしまい手に取れずにいた。私は雨宮さんを「女子をこじらせて」で知ってから、書かれるものを追いかけていたし TwitterInstagram までフォローしていた1ファンだった。
結果としてこの本は雨宮さんの遺作となり、これを読んでしまったらもう新作はないと思ったら寂しかった。

「コーヒーと一冊」というシリーズから出ている本ではあるけど、私はお酒を飲みがなら読んだ。

 

個人のコミュニケーション能力に任せてしまうと格差は広がるばかりだけど本当にそれでいいの?という話や、個人のしんどさが聖化される話、持っている方が叩かれる話。それらはネット上の言説でも目にするような話題だけれど、このお二人の会話には、問題を鋭く指摘してやった!という匂いや、論破してやる!みたいな雰囲気が全くなくて、ただ本当にやわらかい言葉で雑談をしているからこそ、こちらの身に染みた。私が住んでる世界の話をしているのだと思った。
なのに後半、浮気の話になったらお互い相容れないところが明らかになり、急に「いい試合」とか言い出すので笑ってしまった。

 

この本によって私は岸政彦さんという方を知って、その後、岸さんが書かれたこの文章を読んだ。

さようなら – sociologbook

「雨宮さんの文章で救われ」た私は、岸さんのこの文章にも救われて、悲しいことはとことん悲しんでいいし落ち込んでいいし、会ったこともない人のために泣いてもいいのだと心底思った。

 

本のあとがきで雨宮さんが書いた「話すだけで、世界は豊かになる。自分の世界も、他人の世界も。」という言葉をしっかり握りしめていきたい。言葉を惜しまずに伝える。自分に向けて発された言葉を決して軽んじない。